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3-15 人恋しい夜 1

last update Last Updated: 2025-11-22 14:25:52

電車を降りた沙月は、マンションヘ帰る気がしなかった。

何故なら今夜は一人きり。

真琴は今日から数日間、関西地方へ出張で不在だからだ。

そして沙月の耳に、退社時に楽し気に聞こえてきた女性社員たちの会話が蘇る。

『ねぇ。今夜、朝霧さんを誘って婚約祝いに皆で飲みに行かない?』

「飲みに……」

ポツリと呟く。

(そうよね。どうせ部屋に帰っても真琴はいないのだから……)

精神的に参っていた沙月。とてもではないが、食事を用意する気力など無かった。

「たまには外食もいいかもね……」

沙月は何時もの帰り道とは正反対の繁華街へ向かった――

****

 繁華街は様々な店が立ち並び、多くの人々が行き交っていた。

賑やかな町をゆっくり歩き……沙月はふと、足を止めた。

「あ……この店……」

その店は、以前から気にかけていたカフェだった。

グレーを基調としたモダンな外観の建物に、大きなガラス窓に向き合うようにカウンター席がある。

店内の入り口にはブラックボードの看板が立てられ、メニューがぶら下げられている。

沙月は何気なくメニューを手に取った。

「ふ~ん……夜はお酒も飲めるのね……」

今夜の沙月は精神的に参っていた。お酒の力を借りて少しでも憂鬱な気分を晴らしたかった。

沙月は扉を押し開けると、吸い込まれるように店内へ入って行った。

――カランカラン

ベルの音が店内に響き渡る。

「いらっしゃいませ、お好きなお席へどうぞ」

中に入ると、白いブラウスにモスグリーンのエプロンをつけた年若い女性スタッフが笑顔で声をかけてきた。

沙月は小さく頷くと、窓際にあるカウンター席へ迷わず向かって腰かけた。

テーブルには卓上スタンドにメニューが置かれている。

「お決まりになりましたら、ボタンでお呼びください」

呼び出しボタンを指さすと女性店員は会釈し、去って行った。

「何があるのかしら……」

ポツリと小さく呟き、沙月はメニューを手に取ると広げた、そこには様々なアルコールや、軽食。ソフトドリンクが小さな写真付きで掲載されている。

「……」

少しの間、無言でメニューを見ていた沙月は呼び出しボタンを押した。すると先ほどの女性スタッフが現れた。

「ご注文はお決まりですか?」

「はい、カシスオレンジとキッシュプレートをお願いします」

「かしこまりました」

笑顔で女性スタッフは会釈すると、水の入ったグラスを置いて去って行った
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Comments (2)
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カナリア
話がスローペース過ぎて良く分からない もっとチャッチャと話進めて下さいよー
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hime kichi
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